昨日と同じように曇り天気は続いていたが、雨が降り出すことのない日だった。
朝早くから、ホテル内のショートゴルフコースにぞろぞろと集まり、我さきに自慢の腕を披露し始めた。
一周30分程度で回れるコースで、長くて80ヤードほどの全9ホール。
▲チップインを狙う慎重なショットのOK
昨日の疲れをまったく感じさせないくらいに元気である。続けて2ホールも回る強者もいた。
とくに力の入っているのは、MYとCK。昼食を賭けてのマッチポイントで朝から大騒ぎしていたようだった。誰が勝ったのかは伏せておこう。
午前中は、まだ見学していない名所巡りが組み込まれた。
OKがマイクロバスを手配し、老人クラブ御一行様はホテルをスタートした。
宇根まで足を伸ばし有名な大ソテツを見学。
大ソテツは宇根の喜久村家の庭園に植えられた樹齢300年以上といわれるソテツで、高さ6メートルと4メートルの2株があり、2000以上の枝を持つといわれている。
両腕では抱え込まれない大きな幹で、表面はゴツゴツしている。
私たちが目にするソテツはせいぜい高さ1〜3メートルくらいのものが多いなか、何という大きさだろう。まるで始祖鳥や恐竜が生きていた何千万年も前にトリップしたような感覚だ。
▲巨大なソテツと「せいくらべ」
久米島は不思議な島である。
島の南部のトゥクムジ公園は、海中から巨大な岩群が数十メートルそそり立つ断崖の場所。
火山活動のスケールの大きさを感じさせる壮大な景観はすばらしい。近くには鳥のクチバシを思わせるような「鳥の口」と呼ばれる奇岩があり、展望台からの見下ろす眺めは見ごたえがある。
冬にはザトウクジラが泳いでいるのが見られると言うので、頂上の展望台まで登ってみた。細い山道は木立が茂り、ゆるやかな丘を登っていく感じだったが、途中から急な階段があらわれ、仲間の半分は諦めて座り込んでしまった。息も絶えだえに登りきった展望台は、細い岩の先に建てられ、三方は絶壁で、その高さには足がすくんだ。
私は座りぱなしだった。
目の前に広がる海は靄がかっていて遠くの水平線まで薄暗く、水墨画の世界に居るようだった。
もちろん、5月のこの時期では鯨を見ることは叶わなかった。
▲展望台は細い岩の頂上にある。腰が抜けるような感覚を愛想笑いで誤魔化す。
公園の散策のあと、久米島自然文化センターを見学してホテルに戻った。
夕方に予約してある那覇行きの便までまだ時間があったので、各々、部屋で自由時間とした。
テレビでは沖縄出身のプロゴルファー、宮里藍が優勝に挑んでいるシーンが流れていた。(彼女が初優勝した時のだった?)
……
久米島から那覇空港までの機内の30分は、軽い疲労感と安堵感で一杯だった。空港到着の時点で今回の久米島の旅は終了した。
…………………………………………………………………………………
…………………………………………………………………………………
【語句】
久米島の西方には九州からから連なる霧島火山帯が走り、その影響を受け、島の南部に見られる奇岩などが、素晴らしい景観となっている。奥武島の畳石も火山活動の結果といわれる。